日本株・決算後の実践確認ログ
OSG(6136)はなぜ下がる?業績Aクラスでも株価が下落する理由と今後
上期営業利益は前年同期比65.1%増。通期営業利益予想は220億円から300億円へ上方修正されました。それでも株価は7月13日の高値4,223円から7月29日終値3,622円まで14.2%下落しています。業績はAクラスなのに、なぜ株価は下がるのか。会社の問題、地合い、利益確定、需給を分け、今後の展望まで確認しました。
CURRENT VIEW
結論:業績A、需給C、総合B
OSGの業績はAクラスです。売上高は19.0%増、営業利益は65.1%増、営業利益率は12.3%から17.0%へ改善。通期営業利益予想も36.4%上方修正され、全地域で増収増益でした。
一方、7月29日終値3,622円は、25営業日の終値から筆者が計算した25日移動平均3,804円を4.8%下回ります。信用買い残も前週比で増えました。会社の強さと株価の弱さが同時に出ています。
現在はA×Aではありません。業績変化はAですが、割安度はB、需給はCです。会社予想EPS255.60円で計算した予想PERは14.17倍、PBRは約1.55倍、予想配当利回りは3.18%。高すぎませんが、下期減速を考えると「深い割安」とまでは言えません。今は3,500円台で下げ止まるかを確認する局面です。
DECISION LOG
前回記事から株価はどう動いたか
高値4,223円
通期上方修正と増配を好感し、年初来高値を更新。1月5日安値2,285円から約85%上昇し、好決算の認知は一気に進みました。
4,007円まで反発
7月17日終値3,740円からいったん持ち直し、4,000円台を回復。ただし高値4,223円は超えられず、戻り売りが出やすい位置でした。
終値3,622円
7月28日と29日の2日間で9.6%下落。29日は安値3,539円まで売られ、終値は25日線を明確に下回りました。
7月17日版で設定した指値は7月24日までの期限付きでした。期限切れの注文案をそのまま再利用しません。高値を追わず、決算後の値動きを確認する考え方に沿って、監視価格と撤退条件を更新します。
FACT
2026年11月期上期で確認できた事実
上期だけを見ると、売上高・営業利益・経常利益・純利益はいずれも上半期として過去最高です。特に2Q単独では売上高494.66億円、営業利益95.27億円、営業利益率19.3%まで上昇しました。1Qの14.4%からさらに改善しており、単なる前年同期の反動だけでは説明しにくい強さです。
地域ごとに利益が伸びた
航空・防衛向け受注と海外グループ会社向け輸出が増加。
米国製造業が堅調。低コスト在庫の販売も利益率改善に寄与。
航空機・医療・エネルギー関連が良好。ドイツ拠点も回復。
中国・台湾の高稼働に加え、インドとタイも好調を継続。
通期予想と配当も上方修正
| 項目 | 修正前 | 修正後 | 増加率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,650億円 | 1,850億円 | +12.1% |
| 営業利益 | 220億円 | 300億円 | +36.4% |
| 純利益 | 154億円 | 210億円 | +36.4% |
| EPS | 187.46円 | 255.60円 | +36.3% |
| 年間配当 | 88円 | 115円 | 27円増配 |
上期営業利益156.61億円は、修正後通期予想300億円に対して52.2%です。進捗は順調ですが、会社計画から逆算した下期営業利益は143.39億円、下期営業利益率は約15.4%。会社自身も上期19%台の利益率が続く前提を置いていません。
財務は安定。ただし在庫増は継続確認
- 自己資本比率は68.5%。前期末の67.5%から上昇。
- 現金預金567.45億円、有利子負債440.89億円で、ネットキャッシュは126.56億円。
- 上期営業キャッシュフローは165.41億円。設備投資支出を差し引いた概算フリーCFは約108億円。
- 棚卸資産は前期末比54.98億円増。主因は為替とタングステン高に伴う原材料・仕掛品の増加。
概算フリーCFは「営業CF-有形固定資産取得額」で筆者が計算した参考値です。会社が開示する正式な指標ではありません。
WHY THE STOCK FELL
業績Aクラスでも株価が下がる4つの理由
会社から「株価が下がった理由」は公表されていません。以下は、確認できた事実と市場データからの推論です。事実・推論・不明を分ける方法で整理します。
急騰後の利益確定
株価は1月5日安値2,285円から7月13日高値4,223円まで約85%上昇しました。7月27日に4,007円まで戻したものの高値更新には届かず、決算の好材料を織り込んだ投資家の利益確定が出た可能性が高いと見ます。
地合い悪化は一因。ただし全部ではない
7月28日は日経平均が3.95%下落し、OSGも7.24%下落しました。一方、29日はTOPIXが0.26%上昇したのにOSGは2.56%下落。全体相場だけでは説明しきれず、個別の戻り売りも強かったと考えます。
下期は利益率が下がる計画
2Q単独の営業利益率は19.3%でしたが、会社計画から逆算した下期は約15.4%です。上期は価格上昇前に調達した低コスト在庫と、値上げが先に効く時期差が利益を押し上げました。下期はタングステン高の影響が出ます。
25日線割れと信用買い増
7月29日終値3,622円は概算25日線3,804円を4.8%下回りました。信用買い残は7月24日時点で19.59万株、前週比3.91万株増。下落中に買い残が増えると、反発時の戻り売りが重くなることがあります。
事実会社IRでは7月10日以降、下方修正、増資、大口受注取消などの新しい悪材料は確認できません。
推論今回の下落は「業績悪化」より、「急騰後の利益確定+下期減速への警戒+需給悪化」の組み合わせが中心です。
不明大口投資家の売買理由、機関投資家の保有変化、当日の売り主体は公開情報だけでは確定できません。
CAUTION
良い決算でも、ここは疑っておく
利益率改善の一部は時期差
上期は価格改定の効果に対し、材料価格上昇の反映が遅れたことが収益性を押し上げました。下期はタングステン高の影響が強まります。
円安前提が上がった
修正後の想定為替は1ドル155円、1ユーロ180円です。急な円高は海外利益の円換算と価格競争力の両面で逆風になり得ます。
自動車需要は力強さを欠く
成長源は航空・防衛・医療・エネルギー・半導体・データセンターへ広がっていますが、従来の大口市場である自動車の本格回復はまだ確認できません。
売上成長はまだ課題
会社は2026年7月27日公表の株主通信で、収益性改善の手応えを示す一方、「トップラインの伸びは足りない」と説明しています。高付加価値品の拡販が売上成長へつながるかを確認します。
MARKET DATA
7月29日の株価と需給
終値3,622円は、直近25営業日の終値から計算した25日移動平均の概算3,804円を明確に下回りました。29日安値3,539円からは83円戻しており、3,500円台前半では買いも入りました。ただし出来高は25日平均並みで、投げ売りが完全に出切ったとは判断できません。
信用買い残は7月24日時点で19.59万株、前週比3.91万株増。信用売り残は5.33万株、信用倍率は3.68倍です。極端な買い長ではありませんが、株価下落と同時に買い残が増えた点は需給の弱材料です。
割安度の見方
- 会社予想PER:14.17倍(3,622円÷会社予想EPS255.60円)
- 実績PBR:約1.55倍
- 会社予想配当利回り:3.18%
- ネットキャッシュ:126.56億円
財務と利益成長を考えると、14倍台の予想PERは高すぎません。一方、上期利益の一部に在庫コストの時期差があり、下期利益率は低下する計画です。私の基準では「割安B。業績Aに対して妥当圏」と判断します。
90-SECOND THESIS
90秒で説明するOSGの勝ち筋
OSGは、世界シェア30%超のタップを持つ切削工具メーカーです。工具は製造現場で繰り返し交換される消耗品で、設備そのものより継続需要が生まれやすい。今期は自動車だけに頼らず、航空・防衛・医療・エネルギー・半導体製造装置・データセンター関連へ需要が広がり、全地域で利益率が改善しました。通期営業利益予想は220億円から300億円へ上方修正され、増配も決まりました。
勝ち筋は、価格改定と高付加価値製品の拡大で、タングステン高を吸収しながら営業利益率15%以上を維持することです。7月29日17時のドル円は163円台、ユーロ円は186円台で、会社前提の155円・180円より円安です。為替は現時点で業績の追い風ですが、円高へ反転すれば追い風は弱まります。
次の買い手候補は、上方修正銘柄を探す投資家、増配・DOEを重視する投資家、航空・防衛・AI関連の「つるはし企業」を探す投資家です。ただし好決算そのものはすでに認知されています。今後の再評価材料は、利益率改善が一時要因ではなく構造変化だと3Qで示すことです。
この仮説が崩れる条件は、材料高を値上げで吸収できず、3Qの営業利益率が明確に低下すること。中国・台湾の高稼働が止まること。円高で修正計画の前提が崩れることです。
OUTLOOK
今後の展望:3Qの利益率が最大の分岐
会社は2026年7月27日公表の株主通信で、自動車依存から微細・精密加工、電子部品、半導体などへ資源を移した構造改革の成果が出ていると説明しました。航空機、医療、エネルギー、データセンター関連の需要も伸びています。ここは一過性ではなく、中期の成長材料です。
一方、下期はタングステン高が利益に反映されます。会社は価格改定、高付加価値なAブランド、カタログ品の拡販、生産性向上で吸収する方針です。したがって、次回3Qで見る数字は売上高より先に営業利益率です。
| シナリオ | 成立条件 | 株価で見る位置 | 再判定 |
|---|---|---|---|
| 強気 | 3Q営業利益率16%以上。価格改定で材料高を吸収し、中国・台湾の高稼働も継続。 | 25日線3,804円を回復し、4,000円台を終値で維持。 | 総合Aへの格上げ候補 |
| 基本 | 3Q営業利益率14〜16%。通期300億円計画を維持し、成長分野が自動車の弱さを補う。 | 3,400〜3,800円で底固め。 | 総合Bを継続 |
| 弱気 | 3Q営業利益率13%未満。材料高を吸収できず、下方修正または中国需要の失速。 | 3,280円を日足終値で割る。 | 総合C・成長仮説を撤回 |
今後に期待できる3つの材料
- 全地域での需要回復と、自動車以外の航空・医療・エネルギー・半導体・データセンターへの分散。
- 値上げしやすいグローバル販売網と、高付加価値なAブランド・微細精密加工向け製品の拡大。
- 配当性向45%またはDOE3.5%の高い方を採用する還元方針。今期年間配当予想は115円。
次回3Q決算は会社IRカレンダーで2026年10月予定です。7月30日時点で正確な発表日は公式に確認できていないため、日付は推測しません。
WATCH PLAN
7月29日終値からの監視価格
以下は記事上の監視計画であり、購入を勧めるものではありません。7月29日終値3,622円と安値3,539円を基準に更新しました。下落中の成行では入りません。
7月29日終値付近。3,539円を割らず、売りが弱まることを確認して使う打診帯。
- 配分
- 予定資金の20%
- 想定
- 3,500円台で下げ止まり
- 期限
- 2026年8月3日まで
7月29日安値と6月中旬の支持帯。予想PERは約13.6〜13.8倍まで低下。
- 配分
- 予定資金の50%
- 想定
- 急落後の支持帯形成
- 期限
- 2026年8月7日まで
6月上旬の支持帯。会社の仮説が壊れず、地合いで急落した場合だけ使う水準。
- 配分
- 予定資金の30%
- 想定
- 全面安による一時的な投げ
- 期限
- 2026年8月7日まで
出口を先に決める
3,800円前後で30%、4,000〜4,050円で40%、4,200円前後で残り30%。戻り売りが出やすいため分割利確が適切。
日足終値3,280円割れで新規買い停止と縮小を再判定。週足終値3,240円割れで上昇トレンド終了とみなし、全撤退を再判定。
次回決算で営業利益率が13%未満へ低下し、値上げ・生産性改善でタングステン高を吸収できない場合は、利益成長仮説を撤回。
数日〜8週間。2026年10月予定の3Q決算前に継続保有するか再判定する。決算日は公式発表後に確定。
3段すべて約定しても、ポートフォリオの現金比率40%を下回らない範囲に限定。
NEXT CHECK
次に確認する3つ
- 株価7月29日安値3,539円を守れるか。次に25日線3,804円を終値で回復できるか。
- 需給信用買い残がさらに増えるか。反発時に出来高を伴って4,000円を回復できるか。
- 業績3Qの営業利益率が14〜16%を維持し、価格改定でタングステン高を吸収できるか。
今決めることは、業績Aと株価下落を混同せず、3,539円と3,804円を監視線にすることです。後で確認することは、3Qの利益率と価格改定の浸透。今回は考えなくてよいことは、掲示板だけを根拠に売り手を特定することです。
PRIMARY SOURCES
確認した一次情報・市場データ
- OSG「2026年11月期 第2四半期(中間期)決算短信」(2026年7月10日公表、7月30日確認)
- OSG「2026年11月期 第2四半期 決算説明資料」(2026年7月10日公表、7月30日確認)
- OSG「業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」(2026年7月10日公表、7月30日確認)
- OSG「2026年11月期 半期報告書」(2026年7月14日公表、7月30日確認)
- OSG「第114期 上半期のご報告」(2026年7月27日公表、7月30日確認)
- OSG IRニュース一覧(7月10日以降の新規開示を7月30日確認)
- Reuters OSG株価(2026年7月29日15時30分の終値・四本値・出来高を確認)
- Yahoo!ファイナンス OSG(2026年7月24日時点の信用残を確認)
- Reuters「日経平均は続落、韓国株安が波及」(2026年7月29日の市場全体を確認)
- 日本銀行「外国為替市況 2026年7月29日」(17時のドル円・ユーロ円を確認)
25日移動平均、25日平均出来高、PER、PBR、配当利回り、下期営業利益率は、上記の一次情報と市場データから筆者が計算した参考値です。
OSGを監視するときに確認すること
業績Aという評価と、今すぐ買える株価かどうかは分けて確認します。
- 会社IRに新しい下方修正や資本政策の変更がないか
- 3,539円を割らずに売りが止まるか
- 25日線3,804円を出来高付きで回復できるか
- 信用買い残が増え続けていないか
- 3Q営業利益率が14〜16%を維持できるか
※業績が良くても、株価と需給が弱い間は急いで結論を出しません。最終判断は一次情報とご自身の資金管理を確認してください。