日本株・決算後の実践確認ログ
テラスカイ(3915)は好決算なのになぜ下落?1Q業績と弱いチャートを確認
売上高は前年同期比20.3%増、営業利益は79.0%増。それでも決算翌日は高値から売られ、その後も戻せていません。「決算」「市場の期待」「需給」を分け、業績とチャートが逆方向を向く理由を確認しました。
CURRENT VIEW
結論:業績A・需給Cで監視継続
テラスカイの業績改善は確認できました。一方、6月の量子コンピューター相場で先に買われ、決算翌日には大商いを伴う長い上ヒゲを形成しました。
今の判断は「監視継続」です。業績の変化はAですが、割安Aではなく、需給もまだCです。A×A判定にはしません。
90-SECOND VIEW
90秒で分かるテラスカイの現在地
売上・営業利益とも1Qとして過去最高。営業利益率も改善しました。
決算翌日に高値2,532円から終値2,266円まで売られ、その後も安値圏です。
良い会社かどうかと、今すぐ入れるチャートかどうかを分けて見ます。
FACT
第1四半期の業績は本当に良かったのか
2026年7月15日に公表された2027年2月期第1四半期決算を確認します。
| 項目 | 2027年2月期1Q | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 79億4,600万円 | +20.3% |
| 営業利益 | 5億6,600万円 | +79.0% |
| 営業利益率 | 7.1% | +2.3ポイント |
| 経常利益 | 6億1,000万円 | +74.2% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 3億5,000万円 | +64.5% |
| 1株利益 | 27.16円 | +64.5% |
増収率より増益率が大きく、営業利益率も改善しています。会社は、グループ再編、外注費の削減、大型案件による採算改善、製品事業の黒字転換を主な理由として挙げています。
単に売上が増えただけではありません。利益を生み出す構造にも変化が出ています。ここは前向きに評価できます。
事業別に見ると、どこが伸びたのか
ソリューション事業
売上高 73.55億円前年同期比20.0%増。セグメント利益は9.20億円、同24.2%増でした。大型案件の積み上がりと外注費削減が利益率改善につながっています。
製品事業
赤字から黒字へ転換売上高6.50億円、前年同期比24.1%増。セグメント利益は4,700万円で、前年同期の2,800万円の赤字から改善しました。
通期計画は強いが、上方修正はなかった
| 項目 | 2027年2月期予想 | 前期比 | 1Q進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 343億4,900万円 | +22.4% | 23.1% |
| 営業利益 | 25億4,100万円 | +62.9% | 22.3% |
| 経常利益 | 26億2,800万円 | +52.2% | 23.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 15億2,600万円 | -2.9% | 23.0% |
会社は第1四半期について、期初計画を上回ったと説明しています。一方で通期予想は据え置きました。営業利益の進捗率は22.3%。順調ではありますが、この時点で大幅な上方修正を織り込めるほどの進捗とはまだ断定できません。
また、通期の純利益予想は前期比2.9%減です。前期には投資有価証券の売却益が寄与していたため、本業の営業利益ほど最終利益は伸びません。「営業利益は大幅増益だが、1株利益は通期で伸びない」という見え方も、株価評価を難しくしています。
WHY THE STOCK FELL
好決算でもチャートが悪い3つの理由
量子相場で先に買われていた
子会社Quemixは2026年6月1日、三井金属、日産、トヨタ、デンソーなどとの量子コンピューター関連の研究成果を相次いで発表しました。株価は6月4日に年初来高値3,715円まで上昇。期待の反動で売りが出やすい状態でした。
決算翌日に大商いの上ヒゲ
7月16日は一時2,532円まで買われましたが、終値は安値と同じ2,266円。出来高は前日の約2.3倍でした。好決算を見て入った買いより、利確や戻り売りが上回った形です。
テーマ期待と増益要因に時間差
今回の増益の中心は、大型案件、外注費削減、グループ再編、製品事業の黒字転換です。量子・AIは成長材料ですが、現時点では売上・利益への寄与額が十分に分かりません。
決算前後の値動き
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | 出来高 |
|---|---|---|---|---|---|
| 7月15日 | 2,360円 | 2,375円 | 2,310円 | 2,316円 | 31万7,300株 |
| 7月16日 | 2,320円 | 2,532円 | 2,266円 | 2,266円 | 74万2,900株 |
| 7月17日 | 2,205円 | 2,227円 | 2,117円 | 2,155円 | 33万3,600株 |
MARKET DATA
2026年7月23日の株価位置と需給
参照時点:2026年7月23日14時11分。場中の市場データであり、大引け後の終値ではありません。
- 会社予想PER:約18.2倍
- PBR:約2.22倍
- 予想配当利回り:約0.8%
- 信用倍率:6.01倍
- 信用買い残:64万4,100株
PERだけなら極端な割高ではありません。ただし、PBRは2倍を超え、配当利回りも約0.8%です。明確な割安株というより、今後の利益成長をある程度織り込んだ成長株として見る方が自然です。
信用買い残もあります。株価が戻ったときに、含み損を抱えた買い方の売りが出る可能性にも注意します。
FACT / INFERENCE / UNKNOWN
確認できたことと、まだ分からないことを分ける
確認できた事実
- 1Q売上高は前年同期比20.3%増
- 1Q営業利益は同79.0%増
- 営業利益率は4.8%から7.1%へ改善
- 製品事業が黒字転換
- 通期予想は据え置き
- 決算翌日に大商いの長い上ヒゲを形成
事実から考えた推論
- 量子相場で買った投資家の戻り売りが残っている可能性
- 上方修正がなく、材料出尽くしになった可能性
- 量子・AIへの期待と実際の増益要因に時間差がある可能性
まだ分からないこと
- Quemixが連結利益へ本格貢献する時期
- 製品事業の黒字が2Q以降も続くか
- 外注費削減による利益率改善の継続性
- BLADEなど新規案件の通期寄与
FIVE-AXIS CHECK
5軸での仮判定
| 確認軸 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 割安 | B | 予想PER約18倍。極端な割高ではないが、PBR2倍超で明確な割安とも言いにくい。 |
| 業績・事業の変化 | A | 増収増益、利益率改善、製品事業黒字化を確認。 |
| 需給 | C | 決算翌日の大商い・長い上ヒゲと信用買い残が重い。 |
| 出口・再判定条件 | B | 監視価格と次回決算での確認項目は設定できる。 |
| 一次情報 | A | 決算説明資料、企業IR、株価時系列を確認済み。 |
総合判定はB、監視継続です。業績の変化はAですが、割安AではないためA×Aにはしません。需給もまだCです。
WATCH PLAN
今後のチャートで確認したい3つの価格帯
7月21日と23日の安値圏。短期的に売りが止まるかを見る最初のポイントです。
決算翌日終値から決算発表前終値。ここを回復し、安値を切り上げられるか確認します。
決算翌日の高値。出来高を伴って超えるまでは、強い上値抵抗が残ると見ます。
次回決算で見る3項目
- 営業利益率7.1%前後の水準を維持できるか。
- 製品事業イベント費用が発生する第2四半期でも黒字を維持できるか。
- 新規事業の数値BLADE、BPaaS、Quemixの売上・受注・利益寄与が具体化するか。
この3点が確認でき、通期予想の上方修正や具体的な受注開示につながれば、現在の業績改善が一時的ではないと判断しやすくなります。
CONCLUSION
まとめ|良い会社と、今すぐ買えるチャートは別
テラスカイの第1四半期は、売上、営業利益、利益率のいずれも良い内容でした。
一方、株価は6月の量子コンピューター相場で先に動き、決算翌日には大商いで売られました。好決算でも株価が下がる典型的な「期待と需給」の問題です。
良い決算が出た後、市場がどう反応したか。
テラスカイは業績面では監視する価値があります。しかし、チャートではまだ反転を確認できていません。
今回は監視継続。次は2,110円前後の下値、2,266〜2,316円の回復、そして第2四半期の利益率を確認します。
SOURCES
確認した一次情報・市場データ
- テラスカイ「2027年2月期第1四半期 決算説明資料」(2026年7月15日公表・7月23日確認)
- テラスカイ「2026年2月期 決算説明資料」(2026年4月14日公表・7月23日確認)
- Quemixと三井金属の量子コンピューター関連発表(2026年6月1日公表・7月23日確認)
- Yahoo!ファイナンス テラスカイ株価時系列(2026年7月23日14時11分確認)
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