「株価は正義」はPineで検証できるか? モメンタム投資を日本株スクリーニングに落とし込む実践ログ ※Pine Screenerを使う場合はTradingView有料プランが必要です
話題のモメンタム投資を、TradingViewのPine Screenerで日本株候補探しに使える形へ落とし込みます。
ただし、これは買い判断を自動化する記事ではありません。6カ月・12カ月・36カ月の株価モメンタムを使い、まず「調べる候補」を作るための実践メモです。
筆者自身が、AIと一次情報を使いながら日本株候補を調べるための実践ログです。

結論:Pine Screenerでモメンタム候補は抽出できる
「これだけ上がっているなら、もう遅いのではないか」
「今から買ったら高値づかみになるのではないか」
投資をしていると、こう感じる場面は多いです。 自分も強い銘柄を見つけたときほど、すぐには買えないことがあります。
そんな中で気になったのが、楽待RAKUMACHIのYouTube動画で取り上げられていた「モメンタム投資」でした。 動画では、「株価は正義」「勢いのある銘柄をつかむモメンタム戦略」「短期の爆発力」「中長期の安定性」「ドローダウンのリスク」といった論点が扱われています。
結論から言うと、モメンタム投資の考え方はPine Screenerにかなり落とし込めます。 ただし、Pineで「買う銘柄」を自動判定するのではありません。
候補を出す
6カ月・12カ月・36カ月の株価上昇率を使って、勢いのある日本株候補を探します。
一次情報を確認する
決算短信、決算説明資料、TDnet、企業IRで、なぜ上がっているのかを確認します。
自分で判断する
買う、見送る、監視する。最終判断はPineではなく、自分の確認作業で決めます。
なぜ「上がっている株」を買い損ねるのか
上がっている株を買うのは、想像以上に難しいです。
株価がすでに上がっていると、「自分が買ったところが天井ではないか」と考えてしまいます。 逆に、株価が下がっている銘柄を見ると、「割安になってきたのではないか」と感じることもあります。
でも、実際の相場では、強い銘柄がさらに強くなることがあります。
業績、テーマ、需給、機関投資家の買い、個人投資家の注目。 いろいろな要素が重なった銘柄は、思った以上に長く上がり続けることがあります。
「もう高い」「そろそろ反落しそう」「一度押したら買いたい」と考えているうちに、強い銘柄がさらに上がってしまうことがあります。
「株価は正義」を自分なりにどう受け取るか
「株価は正義」という言葉は、とても強い言葉です。 ただし、自分はこれを「株価が上がっていれば何でも買ってよい」という意味では受け取りません。
株価が上がっている銘柄の中には、業績の裏付けがある銘柄もあります。 一方で、短期テーマ、需給、SNS人気、一過性の材料で急騰している銘柄もあります。
しかし、調査を始める理由にはなる。
最初から「割安かどうか」だけを見るのではなく、まず市場が買っている銘柄を見つける。 そのうえで、なぜ買われているのかを一次情報で確認する。
確認した一次情報:SMTトレンドランキングシリーズのルール
モメンタム投資をPineに落とし込むうえで、まず確認したのが三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMTトレンドランキングシリーズ」です。
公式ページでは、同シリーズは株価の勢いや方向性を示す「モメンタム」に着目し、原則として、短期・中期・長期の各期間の株価上昇率に基づいて投資銘柄を決めると説明されています。
具体的には、米国・日本・欧州・中国・インドの各市場について、時価総額上位約500銘柄を対象にします。 そこから、6カ月・12カ月・36カ月の各期間で株価モメンタム上位7銘柄を選び、合計21銘柄にする設計です。
また、ポートフォリオは21銘柄の等金額投資とされています。 さらに、2月・5月・8月・11月末基準のデータをもとに、翌月すみやかにリバランスと銘柄入替を行うと説明されています。
6カ月モメンタム
直近テーマや材料に反応している銘柄を拾うための短期枠。
12カ月モメンタム
一時的な急騰ではなく、継続的に評価されている銘柄を見る中期枠。
36カ月モメンタム
産業構造の変化や長期テーマに乗っている可能性を見る長期枠。
6カ月・12カ月・36カ月をどう考えるか
6カ月モメンタム:短期の勢いを見る
6カ月モメンタムは、直近のテーマや材料を拾いやすい時間軸です。 AI、半導体、防衛、電力、データセンター、資源、宇宙、造船など、その時々で市場が強く反応しているテーマがあります。
ただし、短期で上がった銘柄は反落も早いことがあります。 6カ月だけ強い銘柄は、必ず「なぜ上がっているのか」を確認したいです。
12カ月モメンタム:継続的なトレンドを見る
12カ月モメンタムは、もう少し継続的な評価を見る時間軸です。 一時的な急騰ではなく、1年近く市場から評価され続けている銘柄を見つけやすい可能性があります。
36カ月モメンタム:長期の構造変化を見る
36カ月モメンタムは、さらに長い構造変化を拾う時間軸です。 産業構造の変化、企業の成長ポテンシャル、長期テーマ、政策支援、世界的な需要増などが背景にある場合、36カ月でも株価が強く出る可能性があります。
5つの本質をPine Screenerに変換する
| モメンタム投資の本質 | 自分なりの解釈 | Pineへの落とし込み |
|---|---|---|
| 株価は正義 | 株価上昇を最初の事実として見る | 6M、12M、36Mの上昇率 |
| 3つの時間軸 | 短期・中期・長期の勢いを分けて見る | 26週、52週、156週 |
| 感情のアウトソーシング | 主観で選ばず、ルールで候補を出す | PASS条件とスコア化 |
| 機械の目 | 知らない銘柄も候補に入れる | ウォッチリスト全体をスキャン |
| ドローダウン管理 | 高値づかみと反落を警戒する | 52週高値からの下落率、40週線 |
TradingViewのPine Screenerでできること
TradingViewのPine Screenerは、ウォッチリストをPineスクリプトでスキャンできる機能です。 自作のPineスクリプトをお気に入りに入れておけば、Pine Screener上でそのスクリプトを選び、plotの値をテーブル列として表示したり、フィルター条件に使ったりできます。
Pineで一覧化できるもの
- 6カ月上昇率
- 12カ月上昇率
- 36カ月上昇率
- 52週高値からの下落率
- 出来高比率
- トレンド判定
- 総合スコア
週足で使う理由
Pine Screenerには直近500バーまでという計算制限があります。 36カ月モメンタムを見るなら、日足より週足の方が現実的です。
週足なら36カ月を約156週として扱えるため、500バー制限内に収まりやすくなります。
Pineで再現できること・できないこと
Pineで再現できること
- 6カ月株価モメンタム
- 12カ月株価モメンタム
- 36カ月株価モメンタム
- 52週高値からの下落率
- 40週移動平均線より上にいるか
- 40週移動平均線が上向きか
- 出来高が平均より増えているか
- 総合スコアの作成
Pineだけでは難しいこと
- 東証全銘柄から時価総額上位500銘柄を自動作成すること
- 各期間の上位7銘柄を完全自動で抽出すること
- 重複銘柄を除外して21銘柄のポートフォリオを自動生成すること
- 銘柄の上昇理由を判定すること
- 決算の質や上方修正余地を判断すること
- 今の株価が期待を織り込みすぎていないか判断すること
Pineは「候補抽出」には使えますが、「最終判断」まではできません。 最終判断には、決算短信、決算説明資料、TDnet、企業IR、週足チャート、出来高、信用残などの確認が必要です。
実際に使うPine Screenerコード
以下は、TradingViewのPine Screenerで使うことを想定したコードです。 36カ月モメンタムを見るため、時間足は週足で使う前提にしています。
//@version=6
indicator("SMT-style Momentum Screener 6M / 12M / 36M Weekly", overlay=false, precision=2)
// =====================================================
// 使い方
// Pine Screener側の時間足を「1W」にする。
// 6カ月 = 26週、12カ月 = 52週、36カ月 = 156週で近似。
// このコードは売買判断ではなく、調査候補抽出用。
// =====================================================
// === Inputs ===
len6 = input.int(26, "6M momentum weeks", minval=1)
len12 = input.int(52, "12M momentum weeks", minval=1)
len36 = input.int(156, "36M momentum weeks", minval=1)
trendLen = input.int(40, "Trend MA weeks", minval=5)
trendSlopeLen = input.int(13, "Trend slope lookback weeks", minval=1)
volLen = input.int(20, "Volume average weeks", minval=1)
minVolRatio = input.float(0.8, "Min volume ratio", step=0.1)
maxDD52 = input.float(-25.0, "Max drawdown from 52W high %", step=1.0)
requireAllPositive = input.bool(true, "Require 6M / 12M / 36M all positive")
// === Timeframe check ===
// このスクリーナーは週足前提。
tfOK = timeframe.isweekly
// === Helper functions ===
roc(src, len) =>
not na(src[len]) and src[len] != 0 ? src / src[len] - 1.0 : na
annRet(src, len) =>
not na(src[len]) and src[len] > 0 ? math.pow(src / src[len], 52.0 / len) - 1.0 : na
// === Momentum ===
roc6 = roc(close, len6)
roc12 = roc(close, len12)
roc36 = roc(close, len36)
// スコアはスクリーニング用の便宜的な総合点。
// 公式の「各期間上位7銘柄」そのものではない。
ann6 = annRet(close, len6)
ann12 = annRet(close, len12)
ann36 = annRet(close, len36)
momoScore = 100.0 * (0.40 * nz(ann6) + 0.35 * nz(ann12) + 0.25 * nz(ann36))
// === Trend filter ===
// 40週線はざっくり200日線に近い感覚。
maTrend = ta.sma(close, trendLen)
trendOK = close > maTrend and maTrend > maTrend[trendSlopeLen]
// === Drawdown filter ===
// 高値圏から大きく崩れすぎていないか。
high52 = ta.highest(high, 52)
dd52 = close / high52 - 1.0
ddOK = dd52 * 100.0 >= maxDD52
// === Volume filter ===
// 出来高が極端に細すぎる銘柄を避ける補助。
volAvg = ta.sma(volume, volLen)
volRatio = volume / volAvg
volOK = volRatio >= minVolRatio
// === Pass condition ===
momOK = requireAllPositive ? (roc6 > 0 and roc12 > 0 and roc36 > 0) : momoScore > 0
pass = tfOK and momOK and trendOK and ddOK and volOK
// === Plots for Pine Screener ===
// Pine Screenerではplotが列・フィルターとして使われる。
plot(tfOK ? 1 : 0, "TF_WEEKLY")
plot(pass ? 1 : 0, "PASS")
plot(momoScore, "MOMO_SCORE")
plot(roc6 * 100.0, "ROC_6M_%")
plot(roc12 * 100.0, "ROC_12M_%")
plot(roc36 * 100.0, "ROC_36M_%")
plot(dd52 * 100.0, "DD_52W_%")
plot(volRatio, "VOL_RATIO")
plot(trendOK ? 1 : 0, "TREND_OK")
alertcondition(pass, "Momentum PASS", "SMT-style momentum screener passed.")Pine Screenerでの使い方
- TradingViewのPine Editorにコードを貼り付ける
- 保存する
- チャートに追加する
- インジケーターをお気に入りに入れる
- TradingViewの「Products」→「Screeners」→「Pine」を開く
- 日本株のウォッチリストを選ぶ
- 時間足を「1W」にする
- 作成したインジケーターを選ぶ
- フィルターで「PASS = 1」を設定する
まず見る条件
- TF_WEEKLY = 1
- PASS = 1
並べ替える列
- ROC_6M_%:降順
- ROC_12M_%:降順
- ROC_36M_%:降順
- MOMO_SCORE:降順
- DD_52W_%:高値から崩れすぎていないか確認
- VOL_RATIO:出来高が極端に細くないか確認
スクリーニング後に確認すること
なぜ上がっているのか
直近決算、上方修正、受注残、利益率改善、政策テーマ、一過性材料かどうかを確認します。
業績で裏付けがあるか
売上、営業利益、営業利益率、受注、会社計画、進捗率、上方修正の有無を見ます。
織り込みすぎていないか
週足で急角度に上がっていないか、出来高を伴って急騰していないかを確認します。
信用需給は悪化していないか
強い銘柄でも、信用買い残が積み上がりすぎている場合は慎重に見ます。
無料記事から有料テンプレへ
この考え方を実際に使うために
この記事では、モメンタム投資をTradingViewのPine Screenerに落とし込む考え方と、基本コードを無料で整理しました。
ただ、実際に使う場合は、Pineで候補を出したあとに、決算短信、TDnet、企業IR、週足チャート、出来高、信用需給を確認する必要があります。
この記事で公開しているもの
- モメンタム投資の考え方
- 6カ月・12カ月・36カ月の見方
- Pine Screener用の基本コード
- できること・できないことの整理
- スクリーニング後の確認項目
今後、有料版で整理したいもの
- 候補銘柄の一次情報チェックシート
- 高値づかみ回避チェックリスト
- 見送り判断テンプレ
- 月次リバランス確認表
- 1カ月後の振り返り記録表
- AI投資会議用プロンプト
「どの銘柄を買うか」ではなく、「候補をどう確認し、どう見送り、どう監視するか」を整理するための実践補助ツールです。
無料記事では考え方と基本コードを公開し、有料版では実際に使えるチェックシートや記録テンプレをまとめる予定です。 自分で調べる力を上げるための道具として作ります。
※有料ページはまだ未公開です。公開後に、この欄へ正式なリンクを追加します。
Fact・Inference・Unknownで整理する
【事実】
- SMTトレンドランキングシリーズは、モメンタムに着目し、短期・中期・長期の株価上昇率に基づいて銘柄を選定する設計になっている。
- 同シリーズでは、6カ月・12カ月・36カ月の各期間で上位7銘柄を抽出し、計21銘柄を等金額投資する考え方が示されている。
- 2月・5月・8月・11月末基準のデータをもとに、翌月すみやかにリバランスと銘柄入替を行うと説明されている。
- TradingViewのPine Screenerは、ウォッチリストをPineスクリプトでスキャンできる。
- Pine Screenerでは、スクリプトのplotを列やフィルターとして使える。
- Pine Screenerには直近500バーまでという計算制限がある。
【推論】
- 6カ月・12カ月・36カ月のモメンタムがそろって強い銘柄は、市場から継続的に評価されている可能性がある。
- 6カ月だけ強い銘柄は、短期テーマや一時的な材料で買われている可能性がある。
- 36カ月でも強い銘柄は、産業構造の変化や長期テーマに乗っている可能性がある。
- Pine Screenerは、買い銘柄を決めるツールではなく、調査候補を見つけるツールとして使うのが良さそう。
【不明】
- 株価上昇の理由が業績に裏付けられているかは、Pineだけでは分からない。
- 今の株価にどこまで期待が織り込まれているかも、Pineだけでは判断できない。
- 信用需給、機関投資家の売買、テーマの持続性、次回決算への期待値は別途確認が必要。
- 動画内の発言を直接引用する場合は、必ず該当箇所を再確認する必要がある。
今の判断
今回、モメンタム投資をPine Screenerに落とし込んでみて感じたのは、これは「買う銘柄を自動で見つけるツール」ではなく、今の市場がどの銘柄を買っているのかを知るための地図に近いということです。
特に日本株では、業績、テーマ、需給が重なった銘柄が想像以上に強くなることがあります。 一方で、強い銘柄ほど高値づかみのリスクもあります。
だから自分は、Pine Screenerで出た銘柄をそのまま買うつもりはありません。
でも、最終判断は一次情報を確認してから。
次にやること
実際に日本株のモメンタム候補を抽出してみる
次回は、今回作ったPine Screenerを使って、実際に日本株のモメンタム候補を抽出してみたいです。 そのうえで、上位に出てきた銘柄について、なぜ上がっているのか、決算で裏付けがあるのか、今から買えるのか、それとも見送るべきなのかを実践ログとして残していきます。
参考情報
免責事項
この記事は、筆者個人の調査メモ・実践ログです。 特定の銘柄や金融商品の売買をすすめるものではありません。 投資判断は、必ずご自身の責任で行ってください。
TradingView、Pine Screener、投資信託のルールや仕様は変更される可能性があります。 利用前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
AIの説明やPineコードには誤りが含まれる可能性があります。数値、期間、仕様、銘柄情報、決算内容は必ず一次情報で確認してください。